同期・履歴・バックアップを分ける

同期は複数の場所の変更をそろえる仕組みです。誤削除や破損した状態も反映されることがあります。履歴は以前の状態に戻す助けになりますが、保管期間・対象・削除権限などの条件があります。

バックアップを評価するときは「クラウドにあるから」ではなく、元データが失われても残るか、攻撃者に同時に消されないか、必要な時点へ戻せるかを確認します。クラウド同期が無意味なのではなく、便利さと復旧条件を別に理解することが大切です。

3・2・1を、数合わせで終わらせない

IPAの日常対策では、元データとバックアップを合わせた3つ、異なる2種類の媒体、1つを別の場所に保管する321ルールを紹介しています。

当サイトの評価では、同じPCから常時書き換えられるコピーが3つあっても、同時被害への備えは十分とは限りません。別保管に加えて、誰が削除できるか、履歴が残るか、必要時に取り出せるかを点検します。

先に決める4項目

  1. 何を守るか:文書・写真だけか、メール・設定・業務データも必要か。同期対象外のフォルダーを見落としていないか。
  2. どこまで戻すか:前日まで戻ればよいか、当日の取引も必要か。許容する損失から保存頻度を決める。
  3. いつまでに戻すか:復元待ちの間にできる代替業務を決める。
  4. 誰が戻すか:担当者が不在、端末や認証手段が壊れた場合の代替経路を確認する。

この4項目は当サイトの整理です。業務データベースは単純なファイルコピーで正常復元できないことがあるため、製品の正規バックアップ手順に従います。

元データを消さない復元テスト

安全な状態の環境で、管理者の許可を得て行う見本です。感染が疑われる端末にはバックアップ媒体を接続しません。

  1. 個人情報を含まないテスト用文書を作り、対象の保存方法でバックアップする。
  2. バックアップの日時と対象ファイルを確認する。原本は削除しない。
  3. 原本とは別の空の場所へ復元する。上書きを要求されたら進めず、手順を見直す。
  4. 復元した文書を開き、内容・必要な版・権限を確認する。
  5. 所要時間、使った手順、失敗した点、担当と次回確認日を記録する。

一つの文書で成功しても、全業務の復旧を証明したことにはなりません。大容量データ、アプリ、権限、依存サービスは別に確認します。

OneDriveの例:戻せる期間と操作の影響

Microsoftの公式説明では、OneDrive全体の復元はMicrosoft 365の条件があり、過去30日間の操作を対象にできます。ごみ箱から完全削除したファイルは復元できないこと、選んだ時点より後に作られたファイル等がごみ箱へ移ることも説明されています。

そのため、OneDrive全体を戻す操作を気軽な練習として実行しません。個別ファイルのテストと、全体復元の計画は分け、現在の契約・保持設定・影響範囲を確認してください。一般の履歴やMicrosoft 365 Backupなどの別サービスの条件も混同しません。

残りやすい問題と次の一歩

  • 成功ログだけ見ている:見本の復元結果まで確認する。
  • 同じ管理者で全部消せる:保守担当者と権限・隔離・変更防止の設計を見直す。
  • 保存先が一つの場所だけ:故障・災害も含め、別の保管先と取り出し手段を検討する。
  • 古い正常データが残っていない:必要な期間・世代と、自動上書きの条件を確認する。

追加のコピーには情報漏えいリスクもあります。媒体の施錠・暗号化、取り扱う人、廃棄方法を含めて管理し、秘密を増やすだけの保管にしないでください。